←(前) ■4-3:特質系能力(その3:番外)
→(次) ■6-1:変化系能力(その1)
今回のテーマは具現化系能力の"威力・精度"について。
※上記のリンクは一連の記事のフォーマットに合わせただけで、直接の関係はありません。
作中で明確になっている性質ではないものの、各所の描写から恐らくそうであろうと思われる部分の追記。
ただ情報不足が否めない部分もあり、一応番外としました。
とは言っても以前の■6-2:変化系能力(その2:番外)でそれとなく触れてはいる内容ではあるんですが、
単行本作業に入っていることや、
スタッフを増員したことから(恐らく予定通りの)今年中の再開もありえ、ヒソカおぢさんの再登場も否定できないため一応事前に扱うことにした。
(いつも通り、"絶対に合ってる"というスタンスではなく、"こうじゃないかな"という一読者の感想です)
それにしても展覧会に合わせて10月再開かと思っていたんだけど、9/5時点でまだ37巻作業は終わっていない(見開き1枚が残っているとのこと)。
どうも編集さんや裏方さんの作業(カバーや表紙デザインや各種編集)や、印刷(製本)やら物流の準備が10/4に間に合わない様に感じるんだけど、どうなんだろう。11月の再開なのかなぁ。
まぁ、その業界の人じゃないので詳細は分からず。
今回扱いたいのはとりあえず具現化系だけなのだが、それだけだとかなりアッサリしてしまうのと触れられない部分があるため、文字稼ぎも兼ねて改めて全体的に"威力・精度"についても触れたいと思う。
◆発の威力・精度
通常、「発」の強さを考える際、
上図のSP部分に掛かる倍率、即ち"威力・精度"も重要になってくる。
ただ、その威力・精度の掛かり方は念系統によって異なる様に思われた。
まず、通常の念への威力・精度の掛かり方は、
イズナビのクラピカへの説明から「×威力×精度」ではなく「×威力・精度」ということの様だ。
しかし、
ゴンのパー(放出)を評価したナックルの発言と従来の計算式だけでは、
ゴンのパー=2000(AP)+2000(SP)×威力・精度(理論値は80%だが修行不足でもっと下)
=2000+?(不明)
=500オーラ程度???
―となってしまい、どうも違う様に思われた。
しかし、これは放出系の特殊性が現れた結果なのではなかろうか。
通常、念はAOPの範囲内(=メモリ)で扱われるが、
ゴンのパー(放出)であいこからのグー(強化)は、その法則から外れている。
ゴンのパー(放出)は手に集めた全オーラ(2000程度)を放つ技であるから、これまでの考えではパー(放出)がある内は何も出来ない様に思われる。
しかしながらもしそうだとすると、相手がどんな能力を持っているかわからない中、放った念弾を念空間にでも取り込まれてしまう可能性もあろう。
異空間に閉じ込められたオーラに命令ができるか、回収ができるかも分からないとモラウは考えていたことから(恐らく相手の能力の性質次第)、「放出系能力者はうかつに念弾を放てない」というそもそも的な矛盾にぶつかってしまう。
つまり、放出系能力はオーラをAOP(=メモリ)から切り離す性質を持っていると考えるのが妥当であり、当ブログではその切り離されたオーラを、AOPに対してEOPと表現している。
要はゴンのパー(放出)は手に集めた全オーラ(2000程度)をEOP化して放っている技であり、
{ 2000(手に集めた全オーラ=AP)×威力・精度(EOP化のため) } + { 2000(SP)×威力・精度 }
=500オーラ程度
―ということなのではないだろうか。
クラピカの放出系能力の図式は、上記2段式で威力・精度が掛かるとすると両者の差はもっと開くため、恐らく「SPに掛かる威力・精度」のみに着目した簡略図だったのかと思われる。
次に強化系
これはイズナビの説明の中でも示された様に、APに威力・精度が掛からない念系統なのかもしれない。
同様にゴンのグー(強化)で考えてみよう。
ゴンのグー(強化)は肉体部分の強化(BP強化)ではなく念攻撃力の強化(AP強化)に属する技と推測され、グー(強化)を放った際にSP(2000オーラ)分は消費されてしまうもののAP(2000オーラ=AOP)はそのまま残った状態である(ナックルの計算式でも減っていない)。
そのため、
2000(AP)+2000(SP)×威力・精度(ゴンの理論値は100%)=4000オーラ相当の強さを持ち、消費はSP分の2000オーラのみとなるのだろう。
続いて変化系
これも同様にゴンのチー(変化)で考えてみる。
チー(変化)は、一点に集めた全オーラ(硬)を剣(?)に性質変化させるものだ。
そして、"作り変え"ならば放出系のAOPからEOPへの変換(?)の際と同様に考えたくなるものだが、変化系能力は正確に言えば性質変化というよりは、恐らく性質"一部"変化あるいは性質付加という力かと思われる。
というのも、ゴンのチーはオーラを"剣に作り変えてる"訳ではなく、オーラに"剣"の性質、もしくは"斬属性"を付与しているだけであくまで性質の増えた"オーラ"に過ぎないのだ(変化系全体に言える)。
しかしそれを踏まえても、
1:2000(AP)+2000(SP=性質付与)×威力・精度80%=3600オーラ相当
(元のオーラ=APに、新しい性質=SPを混ぜた様な感じ)
なのか、
2:2000(AP)×威力・精度80%+2000(SP=性質付与)×威力・精度80%=3200オーラ相当
(APも、SPも共に性質付与を行っている)
なのかは明確には分からずにいる。
ただしAOP型の発の場合、
発を解除すれば、AP部分のオーラは再利用(回収)可能である。
しかし、その一方でAP部分のオーラを100%を回収出来ているかは不明であるため、一定のロスがあった場合それがAP部分に精度・威力が掛かっているためなのかどうかは現状判断できないのかもしれない。
ちなみにオーラの使用感は能力によって異なると思われる。
例えば、ゴンのチーの場合は、
2000(AP)+2000(SP)
と4000オーラ相当の一時的に使用してはいるものの、AP部分は回収可能なため、消費しているのはSP部分の2000オーラのみなのかもしれない。
その一方で、例えばキルアの落雷(ナルカミ)の場合は、APとSPの両方を消費している可能性がある。
というのも通常、電気は使えば消費されるものであるため、その性質付与も無意識に行っているのであれば、APとSPの全部もしくはAPの一部とSPが消費されているのかもしれない(回収不能)。
ただ現時点では、その答えを探るのは難しいと思われる。
そして特質系
―と行きたいところではあるが、現状作中では操作と具現の間に位置する特質系能力者が多い様に見受けられるが、以前特質系の項目で触れた通り、特質系の念の習得度は1パターンではないことが示されたため―
―位置する場所(=使用する能力)によって異なる様に思われた。
操作と具現の間に位置する特質系能力者ならば、その能力は基本的にAOP型で操作系もしくは具現系のどちらかに近いと思われるが、特質系独特の性質があるのかもしれず、詳細は不明である。
お次は操作系
操作系能力者はルールの強制を基礎におきつつ、作中では物体操作や生物操作に注目されていることが多い様に思われる。
通常、操作するものが大きいほ必要なオーラ量は多く、その命令(ルール)の強さに応じて「誘導型<要請型<半強制型<強制型」といった具合に必要なオーラ量は多くなると言う。
ただ、例えば暗黒大陸に居る様な巨大な生物の操作の場合、「体全体」に応じたオーラ量なのか、「操作箇所(脳の全体もしくは脳の一部)」に応じたオーラ量が必要なのかは明らかになっていない。
そして、
物体操作の場合、愛用品(呪具)を媒介して能力を発動させることが多く、それに込めたオーラ量がAPとなり、それと同量のSPが消費される、という感じなのだろうが、
操作系と放出系が隣り合っていることもあってか、自動型(オート)と遠隔操作型(リモート)という2つのタイプ(恐らく基本的には前者がEOP型で、後者がAOP型)が示されており、オーラの使用感はAOP型なのかEOP型の命令なのかによって異なると思われる。
AOP型ならば、威力・精度はSP部分のみに掛かり、オーラの消費もSP部分のみとなろうが、
EOP型ならば―
AP×放出系の威力・精度+SP×操作系の威力・精度 ×放出系の威力精度
―といった具合に威力・精度は両方に、それも3つ掛かってしまうのかもしれない(オーラ消費はAP3倍分)。
そのため、オーラの消費量を抑えるために、あるいは放出系の不得手を補うために「寄生型」などの工夫を凝らすのだろう。
そうして漸く本題の具現化系
具現化系は「思念(頭で思い浮かべたモノ)」を「オーラ」で物質化(現象化)する方法(通常の具現)の他に、「思念」を「オーラの力」で「実際の他の物質を元」に再物質化(作り変え)する方法(ツボネ式具現)の2つが示されているが、そもそも具現化系の"威力・精度"とは何なのか。
1:「イメージの再現」に習得度に応じた補正が掛かってしまうのか、
2:「物質化(現象化)」に補正がかかるのか、それとも
3:「両方」なのか。
作中で明確には説明されていないものの、恐らく2なのかと思われる。
まず「イメージの再現」に補正が掛かるとすれば、「直剣」を思い浮かべていたとしても具現化系以外の能力者はその習得度に応じて「刀身がぐにゃぐにゃ」になるかと言えば、そうではなさそうだ。
作中で具現化以外の念系統の者が具現化系能力を用いる例はいくつかあるが、
カストロの「分身(ダブル:仮)」が今回のテーマを考えるにあたり役立ちそうだ。
カストロはウイングの所見によれば強化系能力者であり、具現化系能力は最大でも60%の補正が掛かってしまう。
しかし―当時の原稿は荒れに荒れてはいるものの―本体と分身は汚れなどが付かない限りは見分けが付かないレベルで再現されていた。
つまり「イメージの再現」に補正は入っていない様に思われる。
ひょっとすると、不足分のオーラを更に注ぎ込むことでその下がった再現率を上昇させているという可能性もあるが、
もしそうだとすると、カストロが容量不足に陥ってしまった理由の中には、当然「再現率向上のためにより力を割いている」ことも入ってくるように思われる。
そもそもピトー(特質系)やレイザー(放出系)、ゴレイヌ(放出か操作?)の念獣など、必ずしも正確なイメージの再現をする必要のない能力でさえも、その具現物の造形は崩れていない様に思われた。
そのため、クラピカが自身の鎖について触れた際「"威力"・精度」ではなく「"強度"も精度」と表現していたことがあったが、鉄のナイフと木のナイフに"強度の違い"があるが、強度が違えば威力(切れ味)も変わることから単純に「威力・精度」の言い換えかと当時は考えていた。
しかし、これは具現化系の補正の掛かり方が「威力・"精度(イメージの再現性)"」ではなく、「威力・"強度(物質化の精度)"」という意味だった様にも考えられるのではなかろうか。
※クラピカの発言は鎖をEOP化することによって「強度(具現化系)も精度(操作系)も落ちてしまう」、ということを言っていたのではなかろうか。
この解釈によれば、ヒソカの「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」が100%具現化系の能力でも問題なくなるのかもしれない。
具現化物(絵具やインク)の"強度"が80%に落ちたとしても、あくまで"騙し絵"に過ぎず、触られてしまえばわかる程度のものであり、元々さほど強度も必要ないためである。
※ヒソカはドキテク使用時、オーラをシート状(=形状変化)にしているが当ブログでは「形状変化≠変化系能力、=基本(もしくは応用)技術」と考えている。
→参照:変化系1
一応これで、ドキテク=具現化系という一番ストレートな解釈への疑問は解消された様に思われるので、変態おぢさんが再登場して仮に能力の説明や示唆があった時の備えにはなるだろうか。
―それでは他系統と同じ様に具現化系能力にも触れて行こう。
まず具現化系能力者は放出系と対極に位置するため、基本的にはその能力のほとんどがAOP型と言えよう。
ただし、具現化系能力を用いる能力者が具現化系に属するとは限らず、
むしろ具現化系と対極に位置する能力者が使うケースも作中で見られるため、特に読者視点では見分けが難しい。
※キャラクター視点で言えば、AOP型能力の場合はその能力を使用した際はAOPが減るため、"目の前でその能力を使われた時"はAOP型かEOP型かすぐ判別可能。しかし、恐らくレイザーがそのタイプかと思われるのだが、AOP型の念獣を後からEOP型に(放出)することもあるため、やはり念での戦いは奥が深い。
基本的なAOP型であれば、
2000(AP=物質化)×威力・強度+2000(SP)×威力・強度
という感じで一番の基本形のオーラ消費はSP分のみ、かと思われる。
しかし、具現を"完全に解除"すればAP分のオーラが戻ってくるが、それが100%分戻ってくるかは明確ではない。
ただもし、具現化系の威力・強度に応じてAOPの一部が消費されてしまっているなら、具現化系能力者以外が何かを具現した際にその分AOPを元に戻せるハズなのだが、当然その様な細かい描写はない。
ex.)AOP2000で、具現物に1000オーラを用いた場合(具現化系の習得度は80%)
1:AOP2000
2:具現→AOP1000+具現物(1000オーラ分)
3:AOP1200(200オーラ分を体内から出している)+具現物(1000オーラ用いて200オーラ消費して、800オーラ分)
※もしAPが習得度に応じて消費されているならAOP(メモリ)は1000+800となり、200オーラ分を体内から出せることになる?
ただ蟻編でペイジンを「紫煙機兵隊(ディープパープル)」で長時間包囲していたモラウが使用したAOPの40%もオーラを浪費しているとは考えづらく、具現化物の強度は減るが具現によってAP部分のオーラが消費されることはなく、遠隔操作型(リモート)ではなく自律型(セミオート?)にすることで、臨戦態勢時のオーラ消費量(ROC)を抑えていたのではないだろう。
※当ブログではモラウは操作系、煙の能力は具現化系と解釈している。→参照
続いて消費型の具現化物の場合。
基本形では消費されるオーラはSPのみかと思われるが、それは常時使用ができる具現化物であり、元から消費前提の具現化物もある。
作中の例だとゲンスルーの「一握りの火薬(リトルフラワー)」等であろう。
20%AOP(AP=物質化)×威力・強度+20%AOP(SP)×威力・強度
となり、通常であればAP分の20%AOPは戻ってくるが、
破壊された具現化物のオーラが術者に戻ることがなかった様に、リトフラは爆発によってなくなってしまうため、発に用いたAPの2倍分を消費してしまうのかと思われる。
※リトフラが「爆発」の"具象"なのか、「爆弾」の具現なのかは明確ではない。
そしてEOP型の具現化物の場合。
まずAOP型の具現化物を作り、
2000(AP=物質化)×威力・強度+2000(SP)×威力・強度
その後、EOP化するという行程を踏むから、
2000(AP=EOP化)×威力・精度+2000(SP)×威力・強度
発に用いたAPの3倍分を消費してしまうのかと思われる。
◆具現化物の強度
具現化物の強度を100%保つことができる術者は具現化系能力者だけなのか、と言えば違うのだろう。
例えば、AOP2000の強化系能力者(具現化系60%)の術者で考えた時、その半分のAOPで具現化した場合、
1000(AP=物質化)×強度60%+1000(SP)×60%=1200オーラ相当
となるのだろうが、
念にはありとあらゆる心の動きが作用して念を加減するため、
心で負けてしまえば、具現化物の強度は落ちてしまう一方で、
揺るがぬ心を持っていれば、格上を相手でも打ち負けない強度を保つこともできる。
また、クラピカの鎖を代表例に、
( AP×威力・強度+SP×威力・強度 ) × MP(制約と誓約)
制約と誓約をもってして、「絶対にちぎれない鎖」に限りなく近くすることもできる。
中にはナックルのポットクリンや、恐らくヂートゥ砂時計の様に能力の一部暴露の様に相手にヒントを与えるために"壊れないこと"が制約と誓約になっている様な特殊な具現物もあるが、それは例外であろう。
そして、ここで疑問である。
制約と誓約や心の強さを除いて考えるが、具現化系能力者が100オーラを用いて1こっちん(強度)の物体を具現できるとした場合、強化系能力者は100オーラ用いて0.6こっちん(強度)の物体しか具現できない。
しかしもし、強度の減衰を考慮して過剰にオーラを込めることが出来たとしたらどうなのか。
例えば強化系能力者が約67オーラ程度を過剰に込めて(計167オーラを用いて)具現した場合、1こっちん(強度)の物体を得ることもできるのだろうか。
もちろんその過剰供給分のオーラを術者は自由に使えなくなるものの、強度面での憂いはなくなる。
作中ではレイザーの念獣の"合体"がその例に若干近しい様に思われるものの、"発使用時の過剰供給"の例は今のところ示されていない様に思われる。
クラピカの念講習会でちょっとでもそのヒントが出ると嬉しいなぁ
―とそんなところで以上。
→(次) ■6-1:変化系能力(その1)