以前、「ゾルディック家について 」で触れた際は、内情が謎に包まれていたため方向性が定まらずにいたのだが、どうもゾル家は―家業こそ特殊だが―意外とハートフルな家庭を築いていたようだ。
主に31巻情報だが、“通して読み終わった”後の感想も含め修正と統合。
<もくじ>
◆ゾルディック家について
┣家族構成
┗家族内指令(インナーミッション)
◆カルトの思惑
◆アルカ(ナニカ)の性別
◎家族構成
一部修正(内容は割愛)。
そういえば、以前ニコニコで放送をやっていた時にゾル家の話になったことがあって、
“イルミ・ミルキ”と“キルア・アルカ・カルト”の母親は違うのでは?
なんてコメント頂いた事がありましたが、
ツボネの“どーも母親似のイルミ様とミルキ様は好きになれないよ”発言から、その線は潰れてしまったかもしれないですねぇ…。
◎家族内指令(インナーミッション)
・“家族”は殺すべからず
・意見統合の禁止
家族それぞれで考え方や方針が違った場合、あえて意見を統合せず各々が自分の望むやり方を通すため最大限努力すること。
もっとあるのだろうが、示されているのはこの2つだろうか。
ただ“指令”(上から下に出す)という言葉の通り、こどもたちに向けたものかと思われる(キキョウはシルバの言葉に素直に従っているため)。
シルバやゼノの兄弟は作中には出ていないが、死と隣り合わせの暗殺家業のゾル家において、子供を一人しかもうけない、ということもないだろう。
家督争いなどどこの世界にもあるわけで、シルバやゼノにも兄弟はいるが何らかのルールに則り、当主に選ばれたのだろう。
しかし、ゾル家内で本気で兄弟喧嘩をすれば死者が出るのは必至で、下手すれば共倒れ、ひいてはゾル家の血筋が途絶える可能性すらありうる。
それを避けるためのルールが、「家族間での殺しが御法度度」を代表とする家族内指令(インナーミッション)であり、より優秀な者を当主に据えるべく家族間で考え方や方針が違った場合は―あえて意見を統合せず各々が自分の望むやり方を通すため―真剣勝負を行うような決まりを作ったのだろうか。
もちろん、今回のように家督争いに結び付くようなことでなくとも、
家族間で考え方や方針が違った場合は―真剣勝負をさせることで、ゾル家は“蛇”を“龍”へと成長させてきた、といったところか。
そして、恐らくキルアがイルミの針で“矯正”されていたのは、過去にアルカの処遇を巡ってイルミに負けたためではなかろうか。
まぁ、勝負にもならなかったでしょうから一瞬でケリはついたのでしょうけども。
◆カルトの思惑
カルトは一体誰を助けたいのか。
……甘かった
No.2ぐらいならすぐかと思っていたけどはるか格下だ
絶望的なくらい
…でも諦めない
耐えるのは慣れてる
何年かかっても兄さんを取り戻すため
カルトの「キルアへの感情」がわかれば読み解けるように思ったのだが、
“助けたい兄さん”候補であるアルカへの感情は嫉妬であった(上図は簡易版)。
(キルア←【はぁと】→アルカ←【嫉妬】―カルト)
キルアと“仲良し”なアルカに、カルトは嫉妬している、ということなのだろう。
以前、本誌感想分では
“違和感無いように物語の流れに沿ってキャラに状況を語らせるのは漫画の典型的な手法”
というご意見もあったのだが―この関係図が正しいとするとキルア?を助けるために旅団に入った?―どうも何にも繋がらないように思われるのだ。
他の漫画ではよく使われる手法なのかもしれないが、
ハンタにおいてはそのキャラクターの言葉や心情は“そのキャラのもの”として描かれてきたし、作者の言葉は“神の声”として、“キャラの声”とは明確に区別されていたように思われる。
そして、“キルアの言葉”として考えると、キルアが今のカルトのアルカへの感情を知っているハズがないのだ。
キルアがアルカの記憶を取り戻したのは針を抜いた後で、それからカルトとは出会っていない。
つまり、キルアの思い浮かべたこの「アルカを巡る家族の相関図」は過去の記憶を元に、現在の状況を加味したものなのではなかろうか。
昔からカルトはアルカに嫉妬していたから、オレ(キルア)に嫌われたくもないから妨害もしてこないし、アルカが好きでもないから手助けもしてこないのだろう、と判断?
要は「家族は昔とあんまり変わってないんだな」という考えがあるから、カルトの今の状態はわからないが、昔のまま「アルカ←【嫉妬】―カルト」としたのではなかろうか。
そう考えると、カルトの目的とも繋がってくる。
幼い頃カルトは、「大好きなお兄ちゃん・キルア」にべったりのアルカに嫉妬していた。
しかし、ある時からアルカは地下に幽閉され、キルアもアルカのことを一切口にさえしなくなり、自分に構ってくれるようにもなった(アルカがいなくなってよかった)。
それからしばらくして、アルカがどうして地下に閉じ込められているかが気になり始めた。
でも誰に聞いても教えてくれない。
仕方がないから“力”を使って調べて(盗み聞きして)みた。
そうして何が起きたのか、どうして閉じ込めるのか、パパもママもイジワルで閉じ込めてるわけでもないこともわかった。そうすることしかできないことも。
恐らく状況を理解できた頃からのカルトの感情は、幽閉された事を喜んでいた自分への怒りや慚愧の念、そしてアルカに何もしてやれないふがいなさ。
そして、問題はアルカそれ自体ではなく“制御できない力”が問題なのだ。
そこがクリアできれば、アルカは助けられる。
カルトの能力も恐らく、元々“アルカをどうにかできる能力者を探すため”あるいはもっと前の段階“何故アルカが閉じ込められたのか知るため”に習得したものだったのではなかろうか。
そして、そんなある日のこと、
幻影旅団に他人の能力を盗む奴がいた、と。
クロロにアルカの能力を盗ませるため幻影旅団に入り、
盗む標的を定めるのが“団長”だからカルトは旅団内で上に行くことを目指していたのではなかろうか。
そう考えるとあの時のカルトの感情は、
マイナスの感情からくるものだったのかもしれない。
カルトの能力や立場的に、キルアに針が刺さっておりそれが原因でキルアが「アルカ絡み」の記憶を失っていることは知っているのだろうが、キルアにアルカの事を教えるわけにはいかない(恐らくそれをやるには、イルミに力を示す必要がある=家族内指令のため)。
“仕方のない”こととはわかっていても、決して無関係ではないキルアが“自由”に振る舞うことには心中穏やかではなかったのではなかろうか。
家族内でのカルトの立ち位置など不明なところも多いが、ゴンらに向けたあの視線の“元”は“やり場のない怒り”(八つ当たり)だったのかもしれない。
と、そんな感じで作中で示されたゾル家の関係図は、
“現在(No.326時点)”の相関図はこうだったのかもしれない。
◆アルカ(ナニカ)の性別
ゾル家の者達がアルカのことを“弟”だとか“坊ちゃん(ま)”と呼ぶ一方で、
キルアだけが“妹”だとか、“女の子”と言う。
しかし、キルアはモラウには―
モラウ:兄貴が弟を…!?
キルア:ああ ゴンを元に戻せるのはアルカしかいない
でもイルミはアルカを殺そうとしてる
―アルカを“弟”として説明していた様だ。
しかしながら、実際にゴンを直せるのは“ナニカ”であってアルカではない。
当然、キルアもそれを一番よくわかっている。
ゴンにも言っていた様に“知っている奴がいっぱいいるとちょっと”アレだから、そしてナニカのことを絡めて説明しようとすると時間がかかり、状況的に余裕がないから端折って説明したためだろう。
すると、どうもキルアはアルカは“女”、ナニカを“男”として認識しているように思われる。
そして、ゾル家の者達は一貫してアルカのことを口では“男”として扱っていたが、
ドールハウスや多くのぬいぐるみ、そして鏡台などを買い与えていることから、実際には“女の子”として扱っているようにも思われる。
遥か昔の時代、ゾル家では男児のみを“子(後継者)”として扱い女児をないがしろ(忌み子として生まれると同時に殺していた、など)にしていた時代があったのかもしれない。
暗殺家業を継ぐ以上強いに越した事はないわけで、“力”において男に大きく劣る女を軽視したためだったり、時代背景故だったりするのだろうが、その中で“女児であることを隠して育てた当主”がいて、その当主への敬意と反省を込めて“女児であっても男子として扱う”風習として残ったのだろうか。
妄想部分は適当に足しましたが、キルアを除くゾル家の者達のアルカへの対応は“風習”のようなものと解釈。
口では男の子扱いする一方で、女の子用の道具を買い与えているため、“家族内指令”や“家訓”のような強いルールではないかと思われる。
本当はこのエントリーでアルカ(ナニカ)の能力関連も入れたかったが入らなかったので、分割。
へ続く。