さすがに再開後、犯人わかってしまうだろうから一応それに先んじで再考しようのコーナー。
結論から言ってしまうと犯人はムシャホかと思われるが、全ての容疑者の内心や描写が出揃っている訳ではないため、未だに若干クエスチョンマークが浮かんでいる。
大分前の情報のため、まず復習から。
◆「11人いる!」とは
「11人いる!(サイレントマジョリティー)」(※以下、“サイマジョ”と省略)とは、クラピカが警護する第14王子ワブルの部屋で起きる連続殺人事件の犯人の能力。
元ネタ(?)は、萩尾望都さんのSFの名作「11人いる!」と、作者がドはまりしていると噂のアイドルグループの楽曲「サイレントマジョリティー」の模様。
◇能力概要
未だ不明点は多いが「座敷人形(黒ぼっこ)」という念獣の胸元から放たれる4匹の「呪唇白蛇(ツチボッコ)」という白蛇が特定の相手に吸血攻撃できる能力(※以下、“座敷人形”と“白蛇”と省略)。
しかし白蛇が対象の全身の血を吸い尽くすのに1匹ならば44秒、全4匹が一斉に襲えば11秒要し、
座敷人形が視えるのは「能力者本人と憑かれた者」の2人だけなのに対して、白蛇は非能力者を含め全ての者に視えてしまう。
これまで各所で触れられている“念での戦い”における攻撃までの所要時間からすると時間が掛かり過ぎており、
白蛇自体は拳銃(9mmパラ)でも撃退可能なレベルなため、
一定以上の戦闘訓練を経た念能力者であれば―多少タネがバレたこともあってか―対応できる様子である。
またサイマジョは、
不測の事態で座敷人形が一人も殺さずに強制解除されると呪いが術者に返って来てしまうらしい。
殺害対象を殺す前に白蛇4匹が殺されたり、“憑かれた者”に座敷人形を破壊されたりすると、能力者本人が死んでしまうだとか、一定期間以上念が使えなくなってしまうのかと思われるが、詳細は不明。
◇攻撃方法と射程と術者の念系統
バリゲン殺害時に、犯人はミュハンが“ターゲット(射程)の10人”には入っていないと考えていた。
その射程の中心がロベリー(憑かれた者)なのか、座敷人形なのかは定かではないが、憑かれた者が本来居ないハズの“11人目(=座敷人形)”を指摘することが能力名に繋がってきているだろうから、座敷人形と憑かれた者を含めて合計11人(実質10人)が射程となるのだろう。
バリゲン殺害時はロベリー(憑かれた者)が、
座敷人形の存在を指摘して周囲の注意がそちらに向いている隙に、白蛇が襲いかかっていたが、
その後のミュハン殺害時の状況から、“11人いる!”という寸劇は“必須”の過程ではない模様。
クラピカは“術者が遠隔からの視認・命令が可能な能力”と推察していたが、念講習会開催前に殺害された、
ウッディーら、上位王妃からの監視&警護兵・計5名の殺害状況から鑑みるに、ウッディー自身に座敷人形を憑けた上で白蛇4匹同時に襲い、残りの4名はそのいずれかに憑け、各人に各1匹ずつ白蛇が襲い掛かったのかと思われる。
4名の監視&警護兵が死体が一箇所に纏まり過ぎている様に思われるが、全身の血が抜かれるまでに44秒掛かるとは言うものの全血液量の20%近くを短時間に失うと出血性ショックに陥ると言うから(50%失うと心停止)、実質的に9秒弱程度で自由に動くことは出来なくなる上、血液を吸う白蛇から襲われる可能性があることも知らないため、急激な体調不良(貧血)に戸惑い、途中で白蛇に気づいたとしても何も出来なかったという感じだったのだろう。
そして肝心の白蛇の襲い掛かり方だが、
当初、座敷人形の胸元の蛇のマークは白かったが攻撃の際は黒くなっていた。
そのため、どこぞやのシアーハートアタックの様に白蛇は座敷人形の胸元から飛び出しているのだろう。
そして白蛇が暗殺対象に直接ワープ(瞬間移動)しているなら術者の主系統は放出系かと疑うが、攻撃準備の段階で椅子の下に隠れていることから白蛇は地べたを這って移動しているのかと思われる。
白蛇が隠れていた椅子(ソファー?)の位置が明確ではないものの(恐らく下図では右方)、
座敷人形とバリゲンの場所からすると「座敷人形→椅子の下」+「椅子の下→バリゲン」よりも、「座敷人形→バリゲン」の方が近い様に思われ(=“飛ぶ”必要なし)、
暗殺対象の服の中に瞬間移動できるなら行動制約のリスクにならないため、地べた移動かと思われる。
強いて言うなら、ロベリー(憑かれた者)が注意を引いた後のバリゲンへの攻撃を思うと白蛇の移動は速い様に思われる一方、吸血後は2度とも拳銃で容易に排除されているため、吸血後は吸った血の分だけ体が重くなって移動速度が極端に落ちてしまうのかと思われる。
つまり“11人いる!”という寸劇は単純に白蛇が襲うだけでは撃退される可能性があるため、その脆さを補うための工夫なのだろう。
この能力は具現(人形と蛇の具現)と操作(遠隔からの視認・命令)の2系統に跨る能力の様であるが、操作系によく見られる“型にハマれば勝ち”の様な強制力が弱い様に思われるため―隠密技術は高いのかもしれないが―念能力者としてのレベルはさほど高くないか、操作系が主系統ではない様に思われる。
個人的には、犯人は具現化系能力者でその能力はAOP型かと考えている。
◆犯人探し
さて、ここから本題の犯人探し。
話の展開や「11人いる!」のオマージュから、個人的には念講習会の参加者16名の誰かが犯人の様に思われる。
しかし、容疑者を絞り切った後もイマイチ確信を持てずにいるため、
1014号室にいる24名全員を容疑者として考えてみる(さすがにクラピカは除く)。
私はミステリーや推理物はほとんど読まず犯人探しの精度もさほど高くないため、消去法で絞っていく。
◇確定除外1-死亡者
第4王子ツェリードニヒの私設兵ミュハンと、第13王子マラヤーム警護で第7王妃セヴァンチ王妃所属兵バリゲン。
穿って考えると「死後の念(死者の念)化」しているとも考えられるかもしれないが、もしそうならば犯人はサイマジョ強制解除時の呪詛返し(?)を気にする必要がない。
◇確定除外2-サイマジョの仕様から
第10王子カチョウの従事者ユウリとロベリー、そして第1王子ベンジャミンの私設兵ヒュリコフ。
座敷人形は「能力者本人と憑かれた者」の2人だけにしか視えない。
ロベリーが憑かれた際、
ユウリとヒュリコフの視点が描かれており、どちらも座敷人形は視えていなかったため除外。
また座敷人形から遠隔視認していると思われる術者の内心が、
“気づいたか、よしよし…!! しっかり皆の注意を引けよ…!”
と描かれていたロベリーも除外出来よう。
◎ロベリーからみるサイマジョの副作用
ちょこっと脱線。
ヒュリコフによると講習会には念を使えることを隠している者が4人いるという。
そしてその内の1人がロベリー(憑かれた者)だったことが明かされた。
ロベリーは“自分にしか見えない女が居る”ことから声を上げたが、元々念能力者であるならば何らかの念攻撃を受けていると分かるハズだろうから―
―サイールドの様に無暗やたらと騒ぎ立てることはしない様に思われる。
つまりロベリーも元々非能力者で、オイトや、後述のユヒライ・シェジェールの様に座敷人形に憑かれたことで“半覚醒状態”にあったのかと思われる。
座敷人形は通常の具現物の様に非能力者にも見える物体でも、「隠」で見えづらくされている物体でもなく、“術者と憑かれた者の2人だけに見える”という特殊な具現物である。
そのため特殊なルールに相手を強制的に巻き込む副次効果として、座敷人形に憑かれた者は念に目覚めてしまうのかと思われる。
講習会中に隠れ念能力者がさら増えることもなかったため、恐らくミュハン殺害時に座敷人形を憑けたのは念能力者の誰かだったのだろう。
◇準・確定除外1-非能力者
第14王子ワブルの母親であり第8王妃であるオイト、第5王子ツベッパの警護、私設兵隊長マオール、第11王子フウゲツの従事者ラジオラスの3名は事件発生時、非能力者であった様だ。
オイトはクラピカの「人差し指の絶対時間(ステルスドルフィン)」の副次効果で念に目覚めた。
念能力者であることを隠していたにしては各所の言動が上手過ぎる一方で、サイマジョ能力者であるならばライバルのモモゼが襲われた際の言動が合致しない。
クラピカの能力により初めて念に目覚めたと考えた方が辻褄が合うため除外。
ラジオラスはクラピカの講習会で最初に念に目覚めた参加者。
クラピカの能力を探ろうとしていたヒュリコフとバビマイナだが、
共に―操作状態ではなく―念能力覚醒状態だと考えていた。
隠れ念能力者だった場合にはヒュリコフの内心と合致しないため、ラジオラスは除外。
マオールは講習会で2番目に念に目覚めた参加者。
“見た目は文句のつけようのない修行過程者だ…それにそぐわない大量のオーラをのぞけばな…”
とヒュリコフは評している。
若干ヒュリコフの言葉が分かりにくいため補完するが、通常「―(ダッシュ)」を用いる様な連結文かと思われる。
“あれが演技なら ―操ってやらせるなんてレベルの芸当じゃない― 一級の手練れだ”
もう少し補うと、
「あれ(マオールが修行過程者にそぐわない大量のオーラを出していること)が演技なら、マオールは一級の手練れだ」
「(クラピカが)操ってやらせるレベルの芸当じゃない=操作状態ではない」
つまりクラピカによる操作でもなく、マオールの演技でもない。
要は十分な修行過程者にしては「纏」が下手くそ(戦闘状態でもないのにオーラを出し過ぎ)で、もしマオールが演技でそれをやっているなら一級の手練れで、操作系能力でやらせることのできるレベルではないほど自然な“下手さ加減”ということだろう。
即ちマオールもこの時に初めて念能力に目覚めたために、上手く加減が出来ていない(オーラを出し過ぎている)ということであろうから除外。
◇準・確定除外2-クラピカ判定
第14王子ワブルの従事者シマノ(“シマヌ”と表記されることもままある)と、クラピカと共にワブルらを警護するハンター協会員(協専)のビル。
共に「導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)」でシロと判定された。そのためこの2人も除外。
この能力の抜け道として、記憶や意識を操作して嘘を嘘と自覚していない場合もシロと判定される点があるが、それを踏まえてしまうと各キャラの内心も怪しくなってくるため考慮しない。
(明確になっている事実や能力の仕様で犯人を断定できるなら良いが、今回それができず各キャラの内心も参考にする必要がある)
◇内心や状況から除外
第1王子ベンジャミンの私設兵バビマイナ、
第2王妃ドゥアズル所属で第3王子チョウライのところに出向している監視&警護兵スラッカ、
第3王子チョウライの私設兵サカタ、
第4王子ツェリードニヒの私設兵&準協会員ダンジン、
第11王子フウゲツの従事者イラルディア、
第13王子マラヤームの警護でハンター協会員ベレレインテ(協専かは不明)。
まずバビマイナ。
“これは王子達の念獣じゃない…!”
という考えが“オレの能力だ”と続くのであれば、にしおかすみこさんの「あたしだよっ!!」を彷彿とさせる。
そもそもバイマイナの能力はマイト曹長から「迎撃型(カウンタータイプ)」と言われているため除外。
次にスラッカ。
口は汚いが、内心では仕える第2王妃ドゥアズルに忠誠心を示している男。
クラピカが緊急アナウンスで「ネン」や「ネンジュウ」、「寄生型」といった情報を流したために、念の情報を持たぬ陣営は「ネン」に関する正しい情報を敵陣営よりも多く掴むことが重要となってくる。
しかしその状況下でスラッカは“高確率で囮や偽情報等のトラップが待ち構えている…!どちらの方が真の情報を得やすいか…!?”と考えていた。
スラッカが念能力者ならば真の情報を得ようとする必要がない(既に知っている)ため、除外。
サカタも、
自らが非能力者であるが故の葛藤が複数回描かれているため除外。
ダンジンは内心に関する描写がないものの、事前に想定外の馬鹿のことを把握していないとは思えないため除外。
同僚のミュハンは、相手次第では一発退場を食らいかねない絡みをした際に、犯人から“想定を越える馬鹿”と評されていた。
講習会開始前の様子からもミュハンの“馬鹿さ加減”はほんのりと匂い立っており、それを隠す(隠せる)タイプでもないと思われるため、数時間でも一緒にいれば“犯行に利用できるかもしれない”ことは把握可能かと思われる。
そもそもツェリードニヒに“念を未収得である”と嘘を付いて、あの好戦的なお馬さんが黙っているとは思えない。
イラルディアは内心から除外。
“な…なぜ警護兵ではなく私達が……”
という至極真っ当な戸惑いから、イキリ立ってるヒュリコフに対して
“それなら発動してやるぜ……!!”
と挑戦的な考えに続くのはあまりに不自然かと思われる。
ベレレインテだが、クラピカが既に念が使える者に挙手を願った際、
左手を“クイ”としている描写が当初気になった。
左胸の着けているバッジを指さして“H協会員よ(使えて当たり前よね)”と主張しているのはわかるのだが、何か能力に関係している行動の可能性を考えていた。
ただ、さすがにそれは疑心暗鬼過ぎやしないかい、と私のゴーストが囁くのだ。
注意を惹きたいのなら声を出して「これ見て、お仲間よ」とでも言えば、視線はもっと簡単に集められただろうし、漫画描写的に“クイ”は目を惹くが、実際には“無音のサムズアップ”のため注目を集めようとするのは無理があろう。
またミュハン殺害時の対策はサイマジョ封じの適切なアドバイスであり、講習会開始序盤に犯人自ら首を絞めるには違和感があるため除外。
◇怪しさも残るが除外
第14王子ワブル、
第7王子ルズールスの警護でドゥアズル王妃所属兵隊長サトビ、
第9王子ハルケンブルグの私設兵ユヒライ・シェジュール。
まずワブルから。
出港前に不穏な気配を発したものの、
今現在までその守護霊獣の姿は確認されていない。
当初は乳飲み子=“血飲み子(母乳は血液から作られる)”から、サイマジョの犯行と思われている事件の一部はワブルの霊獣の仕業なのではないかと考えていた。
しかし計4回7人の被害者の内、明確にサイマジョの犯行と明らかになっているバリゲンの遺体の傷の有無は不明であるものの、それ以外の遺体には穴の傷跡があり、サカタが3体倒したという白蛇から漏れたと思われる被害者の血痕が地面に残っているため全て同一犯でよいのかと思われる。
またクラピカ曰く、
サイマジョは守護霊獣とは違うタイプの能力であり、かつ王子達の霊獣が目覚めたのは“出港セレモニー後”からであり(恐らくそれも壺中卵の儀のルール)、ウッディー殺害事件はちょうどワブルがセレモニー参加中に起きているためワブルも除外。
続いてサトビ。
もし犯人だとすると、ワブルの部屋の警護人を5人も殺しておいて“交渉”だなんてどの口が宣うのかと思わなくもないが、殺された警護人は実質的に上位王妃からの監視人で、下手をするとワブル暗殺を狙っていた可能性もある。
サイマジョにより殺されなかった監視人は2名おり(サイールドに殺されたが)、それが自分の所属するドゥアズル王妃所属と上位のウンマ王妃所属であれば道理も通る上、サイマジョによって殺した者は“ワブル王子の暗殺を目論んでいた”と言うことも捏造込みで可能で、そのパティーンならば“交渉”の意味も通るのかもしれない。
またそもそも、ウェルフィンの「卵男(ミサイルマン)」の様に相手に拳銃を突き付けながら“交渉”と宣う輩もいなくはない。
講習会開始時に念能力者が挙手した際に気に掛ける様子がないのも(シェジェールはよく見ると左目の目線を向けている)、ドゥアズル王妃所属の兵隊長ということもあって、ベンジャミンの私設兵が全員念能力者であることを元々知っており、ベレレインテもH協会員のバッジを付けているからこのシーンの前にそれを確認していたとすれば、“既に知っているから気にかけていない”という可能性もある。
しかし、所属しているドゥアルズ王妃はサポート役に徹する様にと指示をしているという(スラッカ内心)。
また犯人だとして、上位(第2)王妃系が最下位(第8)王妃の陣営に“交渉”なんてする必要があるのだろうか。
サイマジョの犯行がクラピカの緊急アナウンス後から始まったならまだ理由もあろうが、出港セレモニー中から犯行始まっていることからも、犯人だとすると“交渉”の内容がピンと来ない。
そこを補完する想像も浮かぶものの、単純に非能力者で、よりルズールス王子に有利に働く様に「ネン」に関する情報を得ようと交渉しようとしていると考えた方が自然に思われる。
挙手した念能力者達を気に掛ける様子がないのも、非能力者故にそれが真実かどうかも判断がつかず(まだ念の存在に懐疑的なことも理由?)、1人は念を吹聴するクラピカと同じ協会員(顔合わせの段階で確認済)で、もう1人は第1王子の私設兵のためマウンティングの一種と捉えていたのかもしれない。
サトビは講習会で4番目に念に目覚めた様だがそれに関してヒュリコフらのコメントはなく、完全にシロとは断定出来ないものの、除外するには情報が少なすぎる容疑者が数人いるため、逆に除外できる情報があるサトビは除外した。
念の知識がない者達はクラピカの緊急アナウンスを聞いて、「ネン」や「ネンジュウ」と音だけではその意味がわかっていない様子であったにも関わらず、シェジュールとユヒライは明確に「念獣」と認識していた。
しかし、仮にサイマジョがこの二人の能力だったとしても、「覚悟の刻印」を持つ者が同じ意志の下で行動してしまうとハルケンブルグの霊獣の能力の関係でオーラが強まってしまうため即座にバレてしまうであろう。
そのため明確に「念」と認識しているのは「刻印」の影響(要請型の操作系能力に見られる“記憶補正”)かと思われる。
多少脱線になるが、同じく「刻印」が付いているハルケンブルグは「ネンジュウ」と言っており、「王子も支持者も平等」という意志が表れていると言われる「刻印」の効果に差が出てしまっている点について。
ユヒライら私設兵は「気を失ったという記憶がなく、王子が就寝時間外に寝ていた事を全く不自然だと思わなかった」点から記憶補正を受けているが、ハルケンブルグは目覚めた時“夢………だったのか?あれは…しかしオレは確かに………”と記憶が残っていた様だ。
ただ、それは考えれば当たり前のことで霊獣に王子の記憶補正が許されるならば、継承戦に消極的な王子は霊獣に操作されることになってしまう上、傀儡化された王子が勝ち残ってしまっては継承戦の意図に反してしまうだろう。
そのため、霊獣が“王子”の記憶操作が出来ない様なルールがあるのかと思われる。
さて、話を戻すがユヒライとシェジュールはヒュリコフの言う4人の隠れ念能力者の内の
明らかになった2名で(霊獣の能力の影響で半覚醒状態と判明)、
最後の隠れ念能力者の一人が相当上手く非能力者を装い“こいつが暗殺者で間違いない…!!”と指摘されているため除外する。
(全容疑者の内心や描写が出揃っている訳ではないため、除外する理由が一定以上ある場合は除外する)
◇情報なさ過ぎ3兄弟
第3王子チョウライの私設兵ハシトウ・テンフトリ、第5王子ツベッパの私設兵ロンギ。
この3人に関しては描写が少なく、仮に犯人だったとしても「お、おう…」としか言えないかもしれない。
まずハシトウ。
言葉を発した描写すら限りなく少なく、内心の描写もないため、その発言や言動が演技か判断が付かない。
除外する情報がないため、ヒュリコフの“講習会参会者の中にいる隠れ念能力者の最後の1人が犯人で間違いない”という考えを信じて除外(ハシトウは講習会参加者ではない)。
続いてテンフトリ。
この者も限りなく描写が少ない。
言動が演技なのかの判断は付かないものの“クラピカに接触する人物をチェックしろ”というチョウライの指示に実直な人物に思われる。
またチョウライの指示を反芻しつつ“要注意は…No.1・No.4・No.5だな”と考えていたが、第3王子の障害になりうる上位王子陣営への警戒という至極真っ当な考えの様に思われる。
もし犯人だとすると、自らが非能力者を装っている様に敵側も演じている可能性を考え、一見非能力者であるNo.4陣営も警戒したということだろうが、第3王子陣営(第3王妃系)はチョウライしかいないのだ。
能力者ならば非能力者を装いチョウライに念の情報を渡さない理由は何なのか。
他の陣営(第1か第2王子)のスパイという可能性は完全排除できないものの―繰り返しになるが―全容疑者の内心や描写が出揃っている訳ではないため、除外できる情報がある人物は除外するしかないのかと思われる。
そしてロンギ。
内心描写が一切なく、やはりこの人物の発言も演技かどうかの判断ができない。
ただツベッパの私設兵のため、命令系統的には第2王妃ドゥアズル(=第2王子カミーラ)の指示の可能性もある。
しかしカミーラの優先順位は、
“最初にベンジャミン、次にハルケンブルグ”
であり、最下位陣営にロケットスタート(出港セレモニー中の犯行)をかます理由がよくわからない。
他陣営のスパイでないとするとツベッパの命令になるだろうが、
“彼(クラピカ)の頭脳がぜひ欲しいわ!!”
“この2週間を使って隠密に説得して頂戴!”
という命令や思惑と真っ向からぶつかってしまっている様に思われる(開始直後の暗殺含め)。
第5王子までの私設兵は幼少から王子の為に身を捧げる訓練をうけており士気も忠誠心も高いと言われているため除外。
◇犯人はムシャホ?
第8王子サレサレの警護でスィンコスィンコ王妃所属兵隊長ムシャホ。
“他の者には任せられない最重要任務である事は事実!”
と、一見、非能力者が念習得や念に関する情報を取得することを最重要任務と考えている様に捉えられるが、“何が”最重要任務とも言っておらず、王子から命令の内容も不明瞭である。
これだけならば“深読み”として他の容疑者と同じ様に除外していたのだが、怪しい点が複数あるのだ。
サレサレ王子自体は、
“継承戦とかくそくらえ――――――――ェェ!!!!”
と継承戦への意欲はなさそうではあったものの、
母親であるスィンコスィンコ王妃はかなり意欲的で、
第12王子モモゼの暗殺犯はその監視&警護人であったタフディーであり、その所属は第5王妃スィンコスィンコであった。
果たしてタフディーは誰の命令で暗殺を実行したのか。
サレサレは母親から発破をかけられてか“次の晩餐会、世界が変わるぜ?”と多少やる気を出した様ではあるが、その実何をしようとしていたのかは不明である上、モモゼ暗殺はその晩餐会よりも前に起きている。
そのためモモゼ暗殺の命令はサレサレからのものではなく、その母親であるスィンコスィンコから出されたのであろう。
(タフディーは命令には従ったものの継承戦でサレサレが勝ち残るとは思っておらず、“ベンジャミンからのヘッドハント”というハンゾーの嘘に渡りに船と乗ったのだろう)。
第8王子サレサレと第5王妃スィンコスィンコの序列は非常に微妙である。
上位陣程の力はない上、肝心のサレサレ自身に志がない。加えて兄弟がいないため他陣営との腹を割った情報共有は望めない。
ワブルの警護兵が殺された際に、
“ふん 誰か知らんが赤子から狙うとはな………”
とチョウライが発言していたが、どの様な陣営が開始直後(出港セレモニー)から最下位王妃&王子の陣営に暗殺を仕掛けるのか。
好戦的?(手段は暗殺だが)、せっかち?、勝気(負けず嫌い)?、焦燥感に駆られている?、イニシアティブを取りたがっている?等々、思うところはあるがツベッパが、
“第10王子以下は幼くて武力(チカラ)も政治力(コネ)もない。実質は上位5人のサバイバル”
と言っていた通り、少なくとも心に余裕のある陣営ならば第10王子以下の中でも最下位陣営を開始直後から狙うなんてマネはしないのではなかろうか。
各陣営の思惑をわかっている範囲で並べると―、
■第1王妃ウンマ … 方針不明
┣(1) ベンジャミン … 全員参加とは思っておらず暗殺指示自体不可能
┗(4) ツェリードニヒ … 開始直後から“念なし”で自らの部下に暗殺を指示する程“阿保”ではない様子
■第2王妃ドゥアズル … 警護兵にはサポート役に徹する様に指示
┣(2) カミーラ … 最初にベンジャミン、次にハルケンブルグ
┣(5) ツベッパ … 下位王子はアウトオブ眼中(下位王子達への恩赦を願う可能性すらある)
┣(7) ルズールス … まずはツベッパにつく予定
┗(9) ハルケンブルグ … 当初は継承戦辞退予定
■第3王妃トウチョウレイ … 不明
┗(3) チョウライ … 赤子から狙うことはしない
■第4王妃カットローノ … 不明
┗(6) タイソン … 愛は必ず勝ちます!! (まだ自陣のみしか目が行っていない様子)
■第5王妃スィンコスィンコ … 継承戦参加に意欲的
┗(8) サレサレ … 継承戦とかくそくらえ――――――――ェェ!!!!
■第6王妃セイコ … 音楽ショー開催に賛成と方向性から間違っている
┣(10) カチョウ … フウゲツを守るべく画策
┗(11) フウゲツ … カチョウに継承戦の辞退を告げようとしていた模様
■第7王妃セヴァンチ … 継承戦を理解していなかった(モモゼを上位王妃所属兵のみに任せた)
┣(12) モモゼ … そもそも暗殺を指示する兵がいない
┗(13) マラヤーム … 姉が暗殺されるまでちょっとしたお出かけ気分?
―以上、方針不明の王妃もいるものの、高位王妃が開始直後から最下位王妃&王子陣への暗殺を指示するほど余裕がないとも思えず、各王子達の思惑からも外れている様に思われた。
そうなると王妃からの命令となるだろうが、そもそもタイソンの兵は講習会に参加していない(カットローノ王妃除外)。
つまり、消去法で継承戦参加に意欲的でサレサレが何も行動を起こさないことに焦り(怒り?)を見せたスィンコスィンコ王妃のみ残ることになる。
そうしてムシャホの行動を振り返ると、
バリゲン殺害時は先頭に立って一見真っ当な不満を漏らしていたが、
ミュハン殺害時はサトビとマオールに同調するどころか、むしろ距離を置いている様に思われる(少なくともコマに描かれない距離を取っている)。
そう思うとバリゲン殺害時に出張ったのは、他の陣営が戸惑いもあってか“思う様に不満を漏らさなかったから”ではなかろうか。
またクラピカの“棄権者は無しか”という言葉に対して、ムシャホは“そりゃそうだろ。王子の命令だからな”と反応していたものの、ムシャホはサレサレの私設兵ではなく、スィンコスィンコ王妃所属兵である。
王妃所属兵は、“私設兵ほどには王子対する帰属意識は強くないが王妃に対する忠誠は強い”と言われており、“王子に上手く厄介払いされた形”の命令を何故強調するのか。
もちろん、ムシャホがあんな王子であろうとも所属の王妃とその王子に高い忠誠心を持っている人物の可能性もあるが、最重要任務とはスィンコスィンコ王妃からのもので“他陣営に念の知識や技術を渡さない様に講習会を中止させること”なのではなかろうか。
スィンコスィン系で唯一のサレサレ陣営は後ろ盾(マフィア)も信じられる情報源もなく、
使えるコマ(兵士)も少ない。
やる気のないサレサレに代わってスィンコスィンコ王妃が指示を出し、上位王子陣に手を出す勇気も力もないから弱い王子を狙ったのだろう。
開始直後から襲い始めたのは、それだけスィンコスィンコ王妃が焦っていたためかと思われる(ムシャホも急かされていた)。
ワブルの部屋に居たスィンコスィンコ王妃所属兵が念能力者だったならその者に暗殺を任せるだろうから、人員不足もあってかそこに配置したスィンコスィンコ王妃所属兵は非能力者だったのかと思われる。
講習会前にムシャホが“他の者には任せられない”と考えていたのは、少なくとも暗殺向きの能力者であの時点でフリーだったのがムシャホしかいなかったのではなかろうか。
肝心のサレサレはNo.382で死亡しているが、それ以降で殺人事件は発生しておらず、ヒュリコフ・バビマイナ両名ともに内心含めて暗殺者を気に掛ける様子がない。
サレサレ死亡後、講習会にムシャホが居る様子がない(描写がない)が、担ぐ神輿がなければ暗殺をする必要もなければ講習会に参加する意味すらなく、ヒュリコフも1人残った容疑者が去っているならば気に掛けることもないだろう。
と、以上の事からサイマジョの能力者はムシャホかと思われる。
前回の感想時と比べれば大分マシな結果に思われるが、やはり断定的にムシャホ!とは言えず、ムシャホかなぁ?と疑念が残るのがモヤモヤするところ。
一昨日の8/21で、どうやら今回のハンターハンターの休載期間が1,000日目到達したらしかったのでその記念に(?)更新しました。
1998年3月から連載開始しており形式的には「連載23年」と言えなくもないけど、掲載期間は合計で10年7ヶ月程で、休載期間の合計が12年8ヶ月程らしい。
とんでもねぇなと改めて思うが、ホレた弱みで待つしかないのである。