【その2】念の威力・精度ほか【念関連2】 の続き。
<もくじ>
◆操作系
┣操作系能力への抵抗可能性
┣無主物先占の法理
┗念のコンボについて
◆放出系
◆特質系
◆操作系
→物体や生物を操ったり、ルールの創出とその強制ができる系統。
操作系能力は生物や物体を媒介しないとその力を発揮できない上、特に物体操作の場合は使いこんだモノ(愛着のあるもの)でないと威力・精度が上昇しないことが多い。
さて、そうして本題に入りたいのだが、上記定義の前段「物体や生物を操る」は、どうも後段の「ルールの創出とその強制・付加」に集約されるように思われるため、それを重点的に考えたい。
作中から大きく2つの性質を挙げる。
①他人の創ったルールには干渉できない("除念"除く)
②絶対的ルールは創れない
①他人の創ったルールには干渉できない("除念"を除く)
誤解を恐れず端的に言えば、"除念という例外を除いて―「ルールは壊せない」"という意味だ。
この大前提がなければ「ルールを強いる」の操作系能力の意味がなく、相手はルールに則ってあるいはルールに反しない範囲で行動し、攻略しなければならない。
(※当然負ける事になるが、必ずしもルールに従う必要性はない。)
②絶対的ルールは創れない
具現化系能力者が『神懸ったもの=人間の力を超えるもの=絶対的なもの』を具現できないのだから、
操作系能力者も『絶対的ルール』を相手に強いる事はできない、というのは至極自然な発想であろう。
『絶対的ルール』は創れないを言い換えれば、
能力者が『絶対的に勝てるルール』を相手に強いる事ができない、
もっと砕けて言えば、『(相手にとって)無理ゲー』は創れない、ということ。
補足をするならば、この『絶対的』の意味は、『主観的な絶対性』ではなく、『客観的な絶対性』を指す。
例えば―
私がゲンスルーの『命の音(カウントダウン)』を仕掛けられ、発動した場合。
(解除方法は、『時間制限内にゲンスルーの体に触れながら"ボマー捕まえた"と告げること』)
客観的には、その解除方法は達成不可能ではないが、
主観的には、どう考えても私が実現する事は不可能である。
私から見てどう考えても『無理ゲー』だから、こんな能力はおかしい!
と言いたいところだが、それは単純に私が弱いという事に過ぎない。
◇操作系能力・簡易まとめ
①ルールは壊せない
②絶対的ルールは創れない
◇操作系能力への抵抗可能性
操作系能力の中には、物体操作と呼ばれるような「それ自体の操作」を目的とするものがある。
その中で、特に高度な精神構造を持つ生物(人間等)への操作能力について。
Q:一度"操作"されてしまった場合、その操作に抗う事はできないのか。
A:基本的にできないが、例外的にできうるのかも。
"操作"は、大きく部分(条件)操作と完全操作に分けられそうな感じはするが、部分(条件)操作の場合にはその前例らしきものがある。
つまりはキルアとジャイロである。
ちなみに部分(条件)操作とは、一切自由に動けないのではなく、ある条件下において行動を制限させる操作、あるいは体のある一部分だけの操作のことを指している。
キルアは、脳に刺された針によって、ある状況下である行動を取るように(取らないように)強制されて(仕向けられて)いた。
つまり部分(条件)操作状態にあったのだろうが、自ら針を抜きその操作状態から自力で抜けだした。
ジャイロの場合。
明確に女王による念操作があったとは言われていないが、原生生物に比べ多用な個をもつ人間キメラアント、それも前世の記憶を有している者達が女王の下から離れようせず、「完全に」ではないが、ある一定の行為をしないように、またするように強制されて(仕向けられて)いたように思われる。
そんな蟻達が、女王絶命後(王誕生後)、手の平を返すが如く態度を変えた。
これは、女王誕生前と後で階級の分裂が起きるというキメラアントの生態通りなのだが、原生生物ならばまだしも、人としての記憶を持つ者達がそう易々とそのロールプレイに従う事には疑問があった。
女王が、意識的にそれを用いているのかはわからないが、対等関係にある王以外の子にはそのような操作プログラムが組まれていたのではないかと思っている。
そして、そんな蟻の中にあって、女王存命中にそこから離れた者がいた。
これは神の声(ナレーション)が附されていたが、どうも強靭なる精神力によるもののようである。
以上の事から少なくとも部分(条件)操作は―その能力の性質や、縛った行動の幅にもよるのだろうが―尋常ならざる精神力でもって抗う事ができうるのかもしれない。
対して、完全操作の場合。
・イルミの『針(能力名不明)』
・シャルナークの『携帯する他人の運命(ブラックボイス)』
などが挙げられうるだろうか。
―で問題は、これに抗う事ができるのか、という事。
かみ砕いてしまえば、オーラの量も質も精神力もさほど強くない低位の操作系能力者の『完全操作』に、王やネテロが屈することがあるのか、ということだ。
もちろん、"操作系能力の性質上一定の駆け引きを前提とするわけで、稚拙な能力者がそんなのできるわけない"だとか、確証も何もないが"完全操作は高位の能力で低位の能力者には使えない"、なんていう反論は有効だろうが、"能力も使え"て、"駆け引きにも勝った"という前提で考える。
恐らく負けるだろう。
実際、攻防力の問題でシャルナークのアンテナが王に刺さるハズもないでしょうけど、操作系能力のそれぞれがハメたら勝ちなわけで、相手が条件を破った場合は「命」すらも奪うことができてしまう。
そして、これまで「完全操作」があるのかどうかわかりかねていたんですが、そもそも相手に「命」すらも手の内にあるのだから、あってもおかしくはないんでしょうね。
まぁ、傍からは完全操作に見えるだけで、本当は縛りの強い部分(条件)操作なのかもしれないんですけどね。
印象の方向性が決まったところで、それに沿って考えてみる。
さきほどは―
部分(条件)操作だから、尋常ならざる精神力で覆し得る
完全操作だから、尋常ならざる精神力でもっても覆し得ない
―と考えてみたのだがそうではなくて、キルアやジャイロのケースは"縛りの弱い"部分(条件)操作だったから、精神力で覆せたのではなかろうか。
若干念から離れて考えてみるが、どうも"縛りの弱い"部分(条件)操作は監禁+強迫(脅迫)に近しい気がする。
相手に何かを強制させようと、手足を紐やら手錠で縛って"●●をやれ"と言ってるようなイメージだ。
そして、監禁されてる者はその多くが中々逃げられないだろうが、尋常ならざる行動力・精神力があれば拘束から逃れられるかもしれない。
対して、"縛りの強い"部分(条件)操作or完全操作は、監禁+お薬注射に近しい気がする。
あんまりこうゆうことを書いてると危ない人になってしまうのでそこまで言及しないが、その薬によって精神を半壊or全壊されてしまえば、もはや逃げることはかなわないだろう。
これをまた念の世界に戻す。
キルアやジャイロが操作から抜けだしたことは、操作系能力のルール①ルールは壊せないに反しているのではなく、尋常ならざる精神力を以って覆されるのが"縛りの弱い"部分(条件)操作故の受動的制約からではなかろうか。
<"縛りの弱い"部分(条件)操作>(半自由人形)
・一定の条件下では行動を縛られるが、それ以外では自由があり意思もある
・行動全てをプログラムする必要はなく、その者の意思や判断を基盤にできる
<"縛りの強い"部分(条件)操作or完全操作>(不自由人形)
・全ての行動を縛られ(?)、一切の自由がなく意思もない(心神耗弱or喪失状態)
・行動全てをプログラム化する必要がある上、木偶化
まず、念での戦いにおいて敵の能力がわからないのが普通であるからして、"人形"の行動全てをプログラム化するのは非常に難しい。
そのため―"人形"自体が念を理解し対応できることが前提ではあるが―"人形"の意思を残しそれを基盤に一定条件下でプログロムを作動させた方が、ともすれば"人形"としての精度は高い。
つまり、精度上昇というメリットを得るために相手(人形)に尋常ならざる精神力で逃げられるというリスクを払っている、という能動的制約とも採れるかもしれないし、
相手(人形)に意志を残すこと自体が―監禁した相手に逃げられてしまうように―反射としての受動的制約とも採れるのかもしれない。
個人的な緩いイメージでは―
縛りの緩い部分(条件)操作…「have to」型操作=尋常ならざる精神力で以って抵抗可能
縛りの強い部分(条件)操作(=完全操作?)…「must」型操作=自力では抵抗不可
―こんな感じかもしれない。
◇生物操作の絶対性・簡易まとめ
基本的には抵抗不可能なのだろう。
しかし、能動的or受動的制約等を理由に、尋常ならざる精神力で抵抗が可能なものもあるのかもしれない。
◇無主物先占の法理
主人となる能力者がいない、物(人含む)は操作できるが、すでに主人となる能力者が居た場合は操作できない。
つまり早い者勝ち。
この性質を利用して、「部分(条件)操作」や「完全操作」を"簡単に"防げないのだろうか。
―例えば、自身に以下の操作プログラムを与える。
◇『牙を抜かれし者(ベン・ザ・ダウン)』
(「部分(条件)操作」「対自分(男)」)
トイレで用(小)を足し、トイレから出る際に必ず便座を下げさせる能力。
トイレから出る時かつ、便座を上げてから「下げる」行為をしていない場合、発動する。
このように、自分の人格や戦闘を害しない程度の操作を最初から自分に加えていた場合、どうなのだろう。
つまり、操作系能力全てがバッティングするのか。しないものがあるのか否か。
「完全操作」>「部分(条件)操作」で、かつ性質が同じ場合にバッティングが起こるのだろうか。
具体的に考えるならば、
対象者の右手を自由に操る能力者Aと
対象者の左手を自由に操る能力者Bが居たとして、2人は同時にXの手を操作できるのか。
右手と左手、操作部分が被っていないから、バッティングせず操作できるのかもしれない。
しかしながら、ひょっとすると部分(条件)操作にしろ完全操作にしろ、相手を操る事は『対象者の脳を操作する』事と言えるのかもしれない。
そうすると、このAにしろ、Bにしろ、対象者の脳のうち運動中枢を操作する事で、対象者の手を操作しているのであれば、バッティングし操作できないのかもしれない。
では少し毛色を変えて、内部プログラムから操る能力(内圧的操作)と、外部プログラムから操る能力(外圧的操作)が競合した場合、どうなるのか。
作中の描写や根拠に欠けるため判断が難しいところではあるのだが、内圧的操作(ex.イルミの針操作)と、外圧的操作(ex.ピトーの操り人形)は競合せず、同時操作が成立しそうな印象は受ける。
(命令がバッティングして人形はろくに動けないだろうが、念能力としては同時に成立するかも、ということ)
そして、さきほどの「ベン・ザ・ザウン」などの「自己操作で対抗できうるか」だが、恐らく対抗できない。
それで対抗できてしまったら操作系能力者の意味がないだろ、という感覚的な印象が前提にあるのだが、
便座を下ろし忘れ「ベン・ザ・ダウン」が"発動"している、数秒の間に他の能力者が能力を使用した場合、無主物先占の法理により、操作は失敗だろう。
(例えば、ベン・ザ・ダウン発動中にシャルナークが私にアンテナを刺した場合、便座を下ろし終わるまで数秒間は発動しないが、下ろし終わった瞬間発動すると思われる)
しかし、「ベン・ザ・ダウン」が発動していない"潜在化"状態に、他の能力者が能力を使用した場合は、競合は起きず操作は成立すると思われる。
つまり、発動状況を常に維持できる操作プログラムならば、無主物先占の法理で他能力者による操作を防げるだろうが、非常にコスパが悪いか、逆に弱くなるケースの方が多そうである。
◇無主物先占の法理・簡易まとめ
操作系能力その全てが無主物先占の法理で弾かれる、ということではないのかもしれない(ex.内圧操作VS外圧操作)。
◇念のコンボについて
「絶対的ルールは創れない」に関連した話。
念と念はコンボしうる(=できないものもある)。
東ゴルドー城突入直後のユピーへのハコワレ発動の際に、
"『神の共犯者』と『ハコワレ』の連携(コンボ)が可能であることは無論事前に検証を終えている"
というナレーション(神の声)が附されていた。
どんな念と念でもコンボが可能ならば―「事前に検証」をする必要性がない。
つまり、
コンボが成立しない(発動しない)
能力の変容が起きる
など、コンボ不成立の可能性があるという事だ。
そして、コンボ不成立の1つの要因として、コンボによる絶対性の成立が挙げられよう。
Q:.メレオロンの『神の共犯者』とノヴの『窓を開く者(スクリーム)』はコンボが可能か
『スクリーム』は作中で一度しか使われなかった技なので、詳細は不明。
「空間を開き相手の一部を取り込んだうえで空間を閉じる」ということからドラゴンボールでの気円斬のように"何でも切れる"ような印象を受ける(空間の断裂には、恐らく体の硬さ等は関係がない)。
しかし、そもそもの問題として、
『何でも切れる刀』は具現不可能なのに、『何でも切れる空間(の断裂)』は具現可能(実現可能)なのだろうか。
①切る事が目的ではない空間系能力の副産物としての『空間の断裂』だから可能なのか、
②無条件に"何でも切れる刀"を具現化ができないだけで、"窓に触れている者(物)を削り取る"という限定条件が附されているため可能なのか
③1:空間開く、2:開いた空間を相手に取り込む(当てる)、3:2を維持した状態で閉じる、という3行程を踏む事で、客観的絶対性が否定されているのか、
④それとも、スクリームは何でも切れる技ではないのか。
などなど。
個人的には③で処理できそうな気がするが、ここに突っ込み始めると本題から逸れ過ぎてしまうので、とりあえず、スクリームが体の硬さ等は関係がなく、窓に触れた者(物)は何でも倒しうる技である、とする。
その前提の上での答えだが、「神の共犯者」とのコンボは成立しない。
スクリームは大きく
1:空間を開く
2:開いた空間に相手を取りこむ(あてる)
3:2を維持した状態で閉じる
という3行程を踏む必要があり、相手はそれを回避しうる。
しかしながら、相手に自らの存在を一切知覚させない『神の共犯者』とコンボが可能ならば―
相手は、スクリームの上記3行程を知覚する事なく無抵抗のまま受け死ぬ事となるのだから
―それは相手に不可能を強いるのと等しい=コンボによる絶対性の成立。
よって、『神の共犯者』と『窓を開く者(スクリーム)』はコンボ不可能である。
◇念のコンボについて・簡易まとめ
念のコンボには成立しえないものがありうる。
特に操作系能力の色合いが強く、相手に強いるルールが強ければ強いものほど、難しいと思われる。
(ルール2:絶対的ルールは創れない)
結果として、コンボ不成立(発動しない)、あるいは能力や制約と誓約の変容が起きうる。
◆放出系
→オーラを外在化(EOP化)できる系統
放出系の最も顕著な性質は"POPもしくはAOPとの切り離し"にあろう。
もし、放出系能力で使用するオーラもAOPに含まれると考えた場合、放出系の利点はまるでなくなってしまう。
例えば、
AOP10000オーラの放出系能力者Xが、その全てを込めて10000オーラの念弾を作ったとする。
放出系能力もAOPに含まれるという前提ならば、その念弾が"生きて"いる間、術者は絶状態になるのだろう。
相手に命中する、あるいは破壊されたならばまだいいのだろうが、弾かれた場合や、どこかに飛ばされた場合、どうなるのだろうか。
念弾が生きているから、術者は能力を解除しオーラを回収せねばならないだろう。
<回収イメージ図>
しかし、念弾が放出系能力者Xと逆方向だったり、念空間に飛ばされた場合など、回収よりも先に敵の攻撃が来ることは十分ありうる。
すると、放出系能力者にも関わらず、うかつにオーラを飛ばせない事態につながりうる。
つまり、「放出系能力はAOPと切り離されている」と考える必要があろう、という事だ。
作中の描写で言えば、ゴン「あいこ」の発想自体が、
「放出系オーラの外在化」を示していると言えよう。
しかし、切り離した結果として、放出系能力は掛け捨て型=回収ができないもののように思われる。
◆特質系
→他に系統に類をみない系統
"例外"の総合商社で、強・放・変・具・操、以外の念。
特質系の能力が可能たる所以自体が推測できないものも多く、逆に最も理解に易い系統。
そうゆうものなのだ、と納得する他ないからである。
個人的には―解釈の挟みようがないため―もっとも嫌いな系統である。
特質系だけで単独に働くのではなく、具現化物や、物(肉体含む)を介して作用している能力が多い様子。
術者の心をもっとも強く反映する系統、と言えるかもしれない。
以下、【その4】念 系統別②(具・変・強)【念関連2】 へ続く。