◆摂食交配について
作中での説明もさほど多くはないので妄想要素が増える気もするのだが、解釈の種になるかと。
◎摂食交配とは
キメラアントの女王は他生物を食べることでその生物の特徴を次世代に反映する、摂食交配という特殊な産卵形態をとる。
過去の感想分ではステータス加算やら何やら考えていたが―、
例えば嗅覚の鋭い生物を組み合わせまくれば、より鋭い嗅覚を持つことになってしまうのだろうが、鋭ければ鋭い程いいというわけではなく、逆に負担にしかならないように思われたので修正。
“すべての生物が同じ大きさだとしたら地上最強生物は何か” なんて話をすると、
その上位陣に“昆虫”が挙がることが多い。
実際には昆虫が人間くらいの大きさになったら自重を支えられないらしいのだが、作中での各種“蟻”の存在はそれを可能せしめる筋肉やら硬い外骨格があることを示しているのだろう。
蟻が人間程の大きさになった基本性能に、食い合わされた動物の特徴、そして人間の知能が合わさったのが蟻の基本構造。
1日250体分の肉団子を食していたので、
「何を食い合わせた」かで「基本構造」が決まり、どれだけ「栄養」を与えられたかによって「最終構造」=強さが決まるのかもしれない。
つまり、同じ“ある動物の特徴”を食い合わせたからその性能が特化されるということではなく、それを扱う「知能」や「技術」そして、「最終構造」の強さで差が出て来るのではなかろうか。
◎各種蟻の人格と記憶
パンダ(?)の解説から、人間言語を操る蟻は一定の前世の記憶を有している。
◇下級兵
・シドレ(前世名:レイナ)
少なくとも襲われた時の記憶はかなり残っている様子。
兄(クルト)が時間を稼いだ分、死を意識してから恐怖や後悔を中核として“想い”を凝縮したのが要因?
・下級兵一般
下級兵は電波(テレパシー)は「片言で要領を得ず」、「言葉がわかるのは珍しい」らしい。
作中で、電波(テレパシー)を使って話す下級蟻は何度か描かれているため、ヒナの言う“言葉がわかる”は“言語を理解できる”の意味ではなく―“ろくすっぽ話さない=過去に言葉を発したことがある”―しゃべれることを指しているのだろう。
つまり、下級兵はほとんどがしゃべれず、知能が低い。
◇兵隊長
・カエル(前世名:不明)
死の直前、強い既視感から“カエル”の記憶を呼び覚ます。
(肉団子にされた人ではこの記憶にならないため、女王自ら採って食べていた時期のカエルだと思われる)
強い刺激(特に精神的?)が魂を揺さぶる?
・イカルゴ(前世名:不明)
イカに憧れていたタコの記憶を有しつつ、
自分の名前は思い出せないものの(恐らく新しい人生を歩む決意が強く、過去を必要としていないため)、
仲間の名前を思い出せる程度には前世の記憶を残していた。
素材生物の記憶を引き継ぐことは、その外見を強く受け継いでいることと関係あるのだろうか?
◇師団長
・コルト(前世名:クルト)
自身の名前も若干異なり、無意識化で“レイナ”の名前は口に出たが、その記憶はない。
強く残っていたのは“○○○を守る”という想い。
死の直前に抱いてた感情とその内容によって、残り方に差が出る?
また、どうやらクルトはレイナを守れなかったと認識している。
カニに襲われ即死したのではなく、秒単位で時間を稼ぐも致命傷を受け、意識混濁下でレイナの叫びを聞いていた、とかなのだろうか。
女王の死(精神的ショック)を受けるまでは思い出せずにいたが、明確な意志(レイナを守る)と、意識混濁化の記憶では残り方に違いが出るのだろうか。
・ジェイル(前世名:メレオロン?)
メレオロンが前世の名前を思い出したのは最近(ペギー死からさらに後)で、それ以前はジェイルと名乗っていた様子。
しかし、カメレオンっぽい名前の者がたまたまカメレオンに転生したというのもあまりに出来過ぎな気もするので、本名の一部+カメレオン=メレオロンなのかもしれない(妄想)。
ペギーが殺された時それが生前の里親とは気付けず、その後思い出したらしい。
明確に女王による念操作があったとは言われていないが、原生生物に比べ多用な個をもつ人間キメラアント、それも前世の記憶を有している者達が女王の下から離れようせず、「完全に」ではないが、ある一定の行為をしないように、またするように強制されて(仕向けられて)いたように思われる。
そんな蟻達が、女王絶命後(王誕生後)、手の平を返すが如く態度を変えた。
これは、女王誕生前と後で階級の分裂が起きるというキメラアントの生態通りなのだが、原生生物ならばまだしも、人としての記憶を持つ者達がそう易々とその役割に従う事には疑問があった。
女王が意識的にそれを用いているのかはわからないが、女王による操作が消えた事とメレオロンの記憶が少しだけ戻ったことに何か関係があるの“かも”しれない。
かなり前世の記憶を覚えている様子。
“まだ覚えてやがった”
という言葉から―ハンタの世界にも輪廻転生のような概念があり―ザイカハルは仲間が蟻に殺されていく中、現世を終わりを受け入れ、“生まれ変わったら”と“次”を考えていたのだろうか?
“忘れているように”と願った(意識した)結果、逆にそれが強く残った?
言葉がペラペラ喋れるのは人間の頃の記憶が残っているからであるように、
自然に四足歩行や匂いで相手を追跡できるのも、狼だった頃の記憶がある、ということだろう。
メレオロンの言う、“獣の特性の方が強い奴”の代表例だろうか。
ライオンの頃の記憶もかなり持っている様子。
役割は“兵隊”蟻の様だが、階級不明。
強靭な意志で女王の命令を何一つ受けつけず、自らの意思で女王存命中に離脱。
“彼の凶悪な意志が人間だった頃の記憶を失うことを許さなかった”
“彼はジャイロのまま生まれ変わったと言っていい”
との神の声が附された。
◇護衛軍・王
階級は違うが、状況が同じなのでひとまとめ。
・組み込まれた動物の特徴を行使していることから、動物側の記憶は―少なくとも潜在的には―持っているが、人側の前世の人格持ちが1人も居ない
◎情報の統合と検討
1:人間蟻=[特徴素材(動物など)+人間]/蟻
2:使われた人間の数(混成率?)=下級兵<兵隊長<師団長<護衛軍<王
3:言語使用状況
人間=(音声)言語
蟻=電波(テレパシー)
人間蟻=【電波のみ(下級)】<【電波+言語(兵隊長・師団長)】<【言語のみ(護衛軍・王)】
4:前世の人格持ち
混成率=【珍しい(下級)】<【そこそこ居る(兵隊長・師団長)】<【いない(護衛軍・王)】
◇多重人格蟻の不存在
蟻の階級が高まれば高まるほどに混成率は上がっている様に思われるのだが、何故多重人格者が出ないのだろうか。
例えば、「ザイカハル」と「ハギャ」を食べて「牛」を混ぜたなら、「牛型の人間蟻」が出来るのだろう。
そして肝心の人格なのだが、「ハギャ」と「ザイカハル」の2つが共存しているケースがあってもいいと思うのだが、実際(作中)にはそのどちらかが収まっているケースしかないように思われる。
・≒椅子取りゲーム?
「牛型の人間蟻」という椅子(器)の奪い合いが内部で起こっており、最終的に勝ち残った魂がその椅子(器)に収まっている?
しかし、それだと“レオル”に収まっている魂は「ハギャ」のみとなりおかしいか(ライオンの記憶を持っている)。
1種1魂?
「牛型の人間蟻」なら、分解すると(牛+人)/蟻。
「蟻」の部分は女王の卵子となるだろうから、「牛型の人間蟻」は「2種(牛と人)・2魂」?
ただ各々の蟻たちは、特徴素材(動物など)の記憶を思い出している時に人格が入れ替わっているような様子はなかった。
それに「牛型の人間蟻」という種で考えれば、1種か。
・≒色の調合?
「赤」と「青」と「水色」を混ぜたら「紫」になるように、
「ハギャ」と「ザイカハル」と「牛」を混ぜて「牛型の人間蟻」になる―3種の魂があるのではなく、混ざって1つの魂になる―ということなのかもしれない。
上記配色は同比率で混ぜた結果だが、色の比率が違えば結果も変わる。
「ハギャ」(8)と「ザイカハル」(1)と「牛」(1)ならば「牛型の人間蟻」(ハギャ)と言った感じだろうか。
色味が変わる(変質する)ことが、前世の記憶の多寡に関わってくるのだろうか。
その様に考えると、上記の階級ごとの違いも色味のバランスのせいなのかもしれない。
下級蟻は、「人間蟻」には違いないが、混合率的に人間以外の色味の方が多いから「人間味」がない(喋れず)、記憶も薄い。
中級蟻(兵隊長・師団長)は、「人間蟻」には違いないが、混合率的に蟻の色味もそこそこに人間の色味も多いから両方の特徴を持つ(喋れる一方、電波も使える)。
上級蟻(護衛軍・王)は、「人間蟻」には違いないが、混合率的に人間の色味が多すぎる結果として、蟻の一部の特徴が薄れた(電波使えない)―ということだろうか。
◇色の強さ
“色の比率が違えば”と例えたが、実際にハギャもザイカハルもこの世に1人で、比率は同じである。
しかし、染まりやすい色、染まりにくい色などがあるように、“色に強さ”があるならばそれは比率のように結果に影響を及ぼすだろう。
そして、その色の強さを示した最たる例がジャイロなのだろう。
“強靭な意志で女王の命令を何一つ受けつけず、自らの意思で”女王存命中に離脱。
“彼の凶悪な意志が人間だった頃の記憶を失うことを許さなかった”
“彼はジャイロのまま生まれ変わったと言っていい”
神の声(ナレーション)から、持前の意志力が記憶を失わなかった(他の色に染まらなかった)理由の様だ。
元々の色(例えるなら“黒”?)が強い事が理由なのだろうが、それならばレイナはどうなのか。
幼い子供はそれこそ真っ白なキャンパスのようなもので、むしろ何色にも染まりやすいのではなかろうか。
・死者の念?地縛霊?
能力者の場合“死者の念”として残りうるケースが示されたが、果たして非能力者の場合はどうなのか。
非能力者でもあってもオーラ(生命力)はあり、
無意識のウチにソレを用いることもままあり、非能力者においても“起き得ない”とは言えないだろう。
ただ、念能力者に比べオーラの絶対量が少ないために執着や憎悪の対象へ向かえるほどの力はなく、そこに強く留まる、言うなれば“地縛霊”の様な状態になるかもしれない(ある“色味”が強く残る)。
死の際、考える時間があったかどうか
自分の死を受け入れていたかどうか
“死の先”のことを考えていたかどうか
強い心の残り(執着)や憎悪、明確な意志があったかどうか
色々な状況や、感情の種類、思考の内容、考えたところで答えは出ないのだろうが、その者の元々の色(意志力)と死者の念(地縛霊)によって色味が強まり、そして摂食交配により新たな器が用意されたこと等が絡み合った結果が、記憶持ちの輪廻転生者の誕生に繋がったのだろうか。
と、そんな感じで念とは―、
自らの生命エネルギー(オーラ)に“魂の枝葉”を分け与えた様な力なのかもしれない、という妄想をこねくり回してみたが、霊とか魂とか―真実はさておき―世の人々が一般に呼称しているあやふやな存在の話を真面目な顔して考えるのはどこかくすぐったいというか、
“モルダー、あなた疲れているのよ”
と言わんばかりに脊髄反射的にどうも反発してしまう部分がある。
・摂食交配=念能力?
霊とか魂だとか、そうゆうよくわからないもの薄くしたパティーン。
単純に摂食交配を念能力として捉えることもできるのではなかろうか。
イメージとしてはイルミの
“改造(?)”と、
“(緩めの)条件操作”を混ぜた様な力で―、
対象(女王が気に入った種)と、組み合わせたい特徴と、自らの生殖能力を組み合わせることで、
自分の“子供”として造り直すことができる特質系の能力なのではないだろうか。
頭の玉が増えれば増えるほど強くなるように、
“子供”も改造されればされるほど(分子部分が増えれば増えるほど)強くはなるが―“元”は壊れてしまうのかもしれない。
“今日中に差し出せばいい”
と言っていたが、“生物学上の死”と、“女王の能力上の死”が違うためだろうか。
主人格の決定は、“色の調合”をそのまま流用。
ジャイロの場合は、元々の色の強さ(意志力)。
(肉体改造は強制的に行われたが、精神改造(=緩い条件操作)は尋常ならざる精神力でもって抗った→念 系統別①(操・放・特) )
そして肝心のレイナなのだが、改めて考えて見ると疑問がいくつか湧いて来た。
クルトとレイナは同時期に食われたのに、
何故、大きな差が出たのか。
“人間”というお気に入りの餌を見つけ、より捕獲範囲を広げることを考えれば、クルトもレイナも師団長として作った方がよかったのではなかろうか。
手持ちの餌では師団長級(上級兵隊蟻?)は1体しか作れなかったのだろうか。
ただそれならば、【(鳥類?+クルト+レイナ)/蟻=コルト】といった具合に混在してもおかしくないのではないだろうか。
―と、ここで一度“こっちの世界の蟻”のについて学んでみた。
“キメラアント”という蟻は当然のことながらこの世界には存在しないが、現実世界の“蟻”の生態をハンタの世界に落とし込んでいるだろうから、“元ネタ”を知ることで、方向性が定まる可能性があるためだ。
蟻の種類は非常に多く、全ての蟻が全く同じ生態を持っているわけでもない様だったので、“全部の蟻がそうだ”というわけでもないが、気になった特徴を抜粋。
・羽は生える?
「有翅アリ(ゆうしあり)」いわゆる「羽アリ(はあり)」と、「無翅アリ(むしあり)」いわゆる普通の「アリ」は別の種類というわけではなく、繁殖期に羽を生やし、終ると羽を落とすしているらしい。
羽を生やす蟻は“繁殖”をする蟻であり、働きアリは生やさない様だ。
作中でも確かに本来繁殖を行う蟻には、羽が生えそうなところが存在していた。
もちろん、予め飛行する動物を組み合わされてる者は最初から生えっぱなしであったが、
女王が死ぬと兵は巣から散って生殖能力をフルに発揮するらしいので、全てのキメラアントは潜在的には羽を生やすことができるのかもしれない。
・女王のバーター(格下の“代用品”)?
継承生殖虫だとか、置換生殖虫だとか色々な種類と呼び方があるようだが、副王・副女王のことで、女王に何かがあった時、代わりに生殖を行う蟻がいるらしい。
思えば女王蟻は登場時、
かなりの怪我を負っていた。
すると、万が一の事態に備えることもありえるのだろうか。
つまり、ひとつの解釈として「シドレ(レイナ)=バーター」もありなのだろうか。
女王が致命的な怪我を負うも“生存中”であれば、女王の“条件操作”に従いシドレ(レイナ)が卵を産んでいた?
女王死後、シドレ(レイナ)はレオル団の雑務兵となっていたが、操作が切れたシドレ(レイナ)は―肉体は成熟しているだろうが―精神がそれに伴っていないから生殖を行うことせず、力もないから雑務兵扱いをされた、とも採れる。
生物の本能を思えば、“ソレ”だったのかもしれない。
ただ、もしそうだったとしても与えられたエサの量からすればシドレ(レイナ)もカイトもその機能は相当低いのではなかろうか。また、レイナを食べる頃には大分回復していた様に思えるので“代用品”は不要だったかもしれない。
・どの蟻でも王になりうる?
蟻は、最初から女王になるか働きアリになるかが決まっているわけではなく、与えられるエサの量や質によって決まるらしい。
これはずっと気になっていた疑問であった。
より良い“王の素”を見つけたら、より“強い王”が産まれるだろうから、女王は“種”の選別をしているのか、と。
実際の給仕は既に“肉団子”状態で、1日くらいしか蟻目線で“鮮度”が保たないらしいのでその選別自体出来るようには思えなかったのだ。
ただ、それではカイトちゃんの説明がつかない。
カイトちゃんの“素”はコアラの言う通り、あの時の赤毛の少女なのだろう。
しかしながら、その少女が殺されたのは時期的に“王の受胎初期”。
可能性は大きく2つ。
1:女王は味から(?)、餌の選別と保存ができる
子宮(?)内に保管庫のような場所があり、弱い餌はそのまま栄養に、強い餌は次の卵の素にしている?
―なんて言えれば色々面白い道は開ける気がするが、精神的にも肉体的にも弱い(疾患あり)レイナは、どうも核になる“素体”ではなく“栄養”か“除外”のどちらかかと思われる。
また、もし選別・保管ができるならば、なぜあの赤毛の少女だったのか。
緊急時の素体(“代用品”)様に残すなら、より強く、より成熟した雌が良いだろうから―兵隊蟻にわざわざ良い雌素体を使う必要などないわけで―ザザンやらピトーの素を保存した方が遥かによいだろう。
つまり、恐らく女王は体内で選別も保管もできない。
強いて言うなら体外で、それも“特徴素体=動物”に関しては選択しているのかもしれない(人間は肉団子にされて献上されていたが、特徴素体に関してはどう献上されているかが描かれていないため)。
“魔獣”が護衛軍なのは出来過ぎのように思えたからだ。
が、その一方で選択できるなら“猫”と“蝶”は使わないのではないだろうか。
そのため、恐らく体外でなら“人間素体”も“特徴素体”も、より良いものを選びうるが、“素”よりも、エサの量や質に重点を置いているのではなかろうか(蟻由来の生物的特徴)。
2:コアラが隠していた
餌は基本的に生きたまま捕え、食事の際に肉団子にして女王に献上されるが、殺してしまった場合はその日の内に献上しなければならない。
しかし、実際に赤毛の少女は王育成中にも拘わらず女王の体内に残っていた。
―が、恐らく女王は体内で選別も保管もできない。
赤毛の少女が死んでから、カイトの肉体として現れるまでの“少なくても1ヶ月間”、何があったのか。
ひょっとすると、赤毛の少女はカイトの様に凍らされて隠されていたのではないだろうか。
少女を「逃がして」やりたいと思っていた。「逃げて」くれ、そう祈りながら撃った。
でもそれは間違った選択だった。
コアラは激しい自己嫌悪と後悔に襲われたことだろう。
少女を追っていた連中は生かしたままとことん楽しむゲスだったらしいので、せっかくの獲物が目の前で殺され気持ちが収まらず死体でも嬲ったのかもしれないが、コアラの所属するジェイル隊は、
他の隊に比べると―“多めに見る”ところもあるが―真面目に“捕獲”をしており、コアラの様子を連日把握していることからも隊の行動は“管理”されている様に思われる。
(隊長がいないと思って“快楽で殺生をしてる”連中すらも把握できている程)
そのためこの前日の赤毛の少女も、恐らく放置ではなく“その日の食事用”にちゃんと巣に持ち帰られているのではないだろうか。
しかし、そもそもコアラはこの赤毛の少女を“馬鹿げたサイクルから逃してやりたい”気持ちがあったわけで、そのまま女王に献上すれば、ひょっとするとまた“くり返して”しまうかもしれない。
後にピトーが冷凍庫を作らせたが、“冷凍庫”とは言っても専門技術的なものではなく自然的なものであった。
NGLの気候や巣の構造(特に地下空間)はわからないが、
カイトの氷の大きさや形状から、恐らくその水路の一部が凍っているのだろう(その近くにこの氷室があるのだろうか)。
そして、コアラは赤毛の少女の亡骸を給仕隊に運ぶと言いつつ、“くり返させないために”この地下(?)に隠したのではないだろうか。
―それから約1ヶ月後、ネテロ・モラウ・ノヴによる「削り」作戦により蟻達は籠城作戦に入った。
貯蔵されている生餌が減ったために、いつかのレアモノみたいにどこかに隠れていないかと徹底捜索されて発見されたのか、籠城が暇過ぎて巣の中を探検していた蟻に発見されてしまったのかはわからないが、“出すエサがないよりはマシ”と献上されたのではないだろうか。
以上のことから―、
カイトちゃんは意図的なバーターでもなく、そもそも女王は体内で選別も保管もできない(素は何でもよくエサの量と質に重点)と採る。
さて、やっと元の話題に戻れる。
何故、クルト→師団長(コルト)、レイナ→下級兵(シドレ)の差が出たのか。
また、レイナとクルトは混在してもおかしくないのではないだろうか。
まず、恐らく「人間」と「人間」は混在しないのだろう。
摂食交配を念能力として捉えた考えが一番近かったのかもしれない。
対象(女王が気に入った種)と、組み合わせたい特徴と、自らの生殖能力を組み合わせることで、
自分の“子供”として造り直すことができる特質系の能力。言い換えれば“対象”を改造する能力。
今回女王が気に入った種は“ヒト”であり、構造は「人間蟻」。あくまで“人間”がベース(核素体)。
特徴素体は恐らく人間以外であれば何でも良い。
食べ合わせた核素体と特徴素体を蟻で包むことで基本構造が決まり、与えるエサ(栄養素体)の量と質で最終構造(下級、中級、上級、特殊etc)が決まるのだろう。
食われた「人間」が核素体になるか栄養素体になるか、また「人間以外」が特徴素体になるか栄養素体になるかは、恐らく運(核素体の枠が埋まっているかどうか)。
本来的に、食べる前に種の保存・選別をして食べ合わせたならば“狙って”作れるとは思われるが、蟻の性質からか“作る”段階よりも、“育てる”段階に重きが置かれてしまったのだろう。
人格のベースも恐らく、基本的には核素体。
しかし、尋常ならざる“色”の強さを持つ、特徴素体や栄養素体が合わさった場合、
内から食い破られることもあるのかも。
よって、クルトがレイナが混在しなかったのは能力の性質上。最終構造に差が出たのは、レイナに与えるエサが限りなく少なかったため(人間捕獲のため強い子を作ろうとした結果)。
最後に特徴について。もう容量がないので軽く。
果たして、特徴素体を複数個組み合わせることはできるのだろうか。
出来てもさほどおかしいとは思えないのだが、
どうもその例が限りなく少ない。
それもコルト配下の蟻は「核が人間以外((空系+蛙)/蟻)」だとか「蟻の特徴で羽を生やしている」、
ミミズク兄さんは「肉体操作と爆肉鋼体」で解釈できる。
そのため、摂食交配で合成できる素体は「核」と「特徴」の2つのみで、それ以外は「栄養」として合成されているのかもしれない。
もちろん産み方(卵生と胎生)の違い、即ち“腹の使い方”次第で『例外』は可能で他の特徴が潜在化しているだけかもしれないのだが。
と、今回はここまで。本当はこの続きの王関連がやりたかったが間に合わなかった(笑)
またいつか。以上。